フリーランスの僕が経験したweb制作の下請けに関する話し
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この記事の内容
IT業界では度々多重下請け構造が問題視されますが、ご多分に漏れずweb制作も同様です。
クライアントが大手になるほど2次受け、3次受けとどんどんマージンを抜かれた仕事が、直受けで仕事が取れない小規模なweb制作会社やフリーランスに回ってきます。
とはいえ、立ち上げ初期は下請けに頼ることが多くなってしまうことは仕方がないことだとも思います。今は直受けで回っていても、初期は下請け案件がほとんどだった会社も多いです。
僕は昔はTwitterでも『下請けはおすすめ!営業もディレクションもしなくて済むし楽だよ〜』みたいなことを言っていましたが、すみません、今は考え方がかなり変わりました。もちろん人によりますが、下請けはデメリットも多く、出来る限り早めに脱却すべきだと思っています。
この記事では僕がweb制作の下請けでハマった経験や下請けのメリット・デメリットなどについて紹介します。
【経験談】web制作の下請けスパイラルにハマった話し
僕がweb制作に専念したのは2018年なので現在3年目になります。
1年目はほぼ下請けで、2年目から直受けも少しずつ取れるようになり、今は直受けメインで仕事をしています。
冒頭でも書いた通り、元々下請けは簡単に仕事が取れるし、クライアントとのやり取りもなくて楽でめっちゃいいじゃん!と思っていました。
ただ、仕事をこなしていくうちに、思い通りにいかないことが多いなと、感じるようになりました。
しかし、その時点でほぼ100%下請けで仕事をしていたので、『下請けを辞める = 収入0になる』だったのでキッパリとは辞めることはできません。
また、仕事がない時期も経験しているので、下請けの仕事を断ったら今後入ってこないんじゃないか?といった不安もありました。(それまでどんなつまらない改修案件でも受けていたので)
そんなこんなでグズグズしていると、ありがたいことなんですが、また下請け案件の打診がきます。そしてそれを受けると直受けに移行するための準備に使う時間がなくなります。
下請けを抜け出す準備には時間がかかります。
例えば、僕は現在はただ制作するだけではなく、上流のコンサル的な業務と改善等の制作後の運用までセットで契約するのが目標ですが、そうなるとそれなりに予算があるクライアントさんでないといけません。名も無い個人がそんな案件を取るには、自分のブランドや実績を作る必要があり、それは年単位で時間がかかることです。
web制作を下請けするメリット
下請けは早めに脱却すべきと書きましたが、メリットもあります。
ここでは僕が経験して感じた、下請けのメリットを紹介します。
簡単に仕事が取れる
もちろん仕事が出来るスキルがあればの話しですが、下請けで小中規模な案件をとるのは簡単です。
この記事にも書きましたが、スキルさえあれば喜んで仕事を流してくれる会社は多いです。
僕はよく『フリーランスとして生きていけるかは、仕事があるかどうか』と言っています。
それほどスキルはないけど、仕事がたくさん取れて稼いでいる人もいれば、スキルはあるのに仕事が取れなくて稼げない人もいます。
重要度的には『スキル < 行動力』になっているなと感じます。
営業やディレクションをしなくて良い
中にはなるべく新規の人と関わりたくない人もいます。
下請けで、かつ付き合いがある会社が限られていれば、その会社の人意外とのやりとりはほぼないです。
ただし、その場合は取引を分散させた方が良いです。1社や2社に依存すると、その会社が潰れたり、人を雇って外注する必要がなくなれば、収入がいきなり半減するような恐ろしいことが起きます。
作ることに専念できる
提案資料を作ったり、営業をしたり、ディレクションをしたりといった作業がなければ、本業に集中することができます。
例えばエンジニアでコードを書くことに集中したい人には良いです。技術を売りにしている人にはそのような考え方の人も多くいます。それはそれで全然良いと個人的には思います。
web制作を下請けするデメリット
下請けのデメリットについて紹介します。
これらのデメリットから、僕は直受けの仕事を取れるようになりたい!と思うようになりました。
また、『下請けのデメリット = 直受けのメリット』になることが多いです。
単価が安い
もちろん下請けになればなるほど単価は安くなります。
200万の予算のものが最終的に制作する人へいくまでに、抜かれに抜かれ、制作者の取り分は50万程度といったこともあると思います。
業界的にはこんなことはあるあるですが、本当は良くないですよね。クライアントさんからしたら、完全に余計なコストですからね…
クライアントさんに提案が出来ない
制作を請け負う場合は、基本的に仕様等決まった状態で、制作の部分だけ請け負うことになるので、クライアントさんに何か提案が出来るフェーズは終わっています。
作っていて、『こここうした方が良いのにな~』、『現状のこのコンテンツ自分だったら改善できるのにな〜』などなど思うことがあっても提案できないのは、なかなかもどかしいです。
代理店(仕事を流してくれる会社)にもよりますが、制作者からの提案をあまりよく思わない会社もあります。僕は思ったことは言うのですが、クライアントさんまでその声が届かず、代理店で却下されることも多くありました。
意味ないとわかりながら時間を使って制作するのは、お金をもらっていてもやりがいはあまり感じません。
営業やディレクションが下手だと余計な工数がかかる
制作を外注している会社には技術のことがほとんどわからない会社もあります。
そのような会社の営業やディレクションは、クライアントさんからの要望にどれくらいの工数がかかるかわからないこともあり、勝手に要望を飲まれると時間を使って大変な思いをするのは制作者になります。
別途予算が出たり、スケジュール引き直しなどをしてもらえればまだ良いのでが、予算も納期も変更なしだと、辛いです。
経験を積むと先読みして、制作前に釘差しをすることが出来るようになるので、少しはましになります。
トラブルが発生しやすい
web制作などのクラアントワークは基本的にどんなに気をつけていてもトラブルは起こります。時には揉めることもあります。
揉めそうなポイントは事前にすり合わせをするべきなのですが、クライアントさんと直で繋がれない下請けではそれが自分ではできません。従って『それ聞いてないけど』みたいなトラブルが起こる確率は高くなります。
言われたものを作るだけだとつまらない
これは人それぞれだと思いますが、僕はサイトを作る目的を聞いて、それに最適化されたサイトを作りたいと思っています。その工程は初期の打ち合わせでやることなので、そこに加われないことがつまらないと感じます。
ただし、これは最初から思っていたわけではなく、初めの頃は作ることに必死でした。徐々に余裕が出来て、このように感じるようになってきました。
やっても良いweb制作の下請け案件の条件
下請けであっても今の自分がやりたい仕事が出来るのであれば、積極的に受けるべきだと思います。
こんな案件であれば、下請けでも受けたいと思います。
- 実績やポートフォリオにして良い
- 自分が試してみたい技術に挑戦できる
- 自分が欲しいと思っているスキルや経験が得られる
実績やポートフォリオにして良い
下請けではなかなか自分の実績として公表出来ません。秘密保持を結んでいるのに、勝手に実績にしてトラブルになった知り合いがいるので、ちゃんと許可は取りましょう。
従って、実績やポートフォリオがない人は実績にして良い案件であれば、多少安くても受けるべきだと思います。
自分が試してみたい技術に挑戦できる
自分で勉強していて、使ってみたい技術などがあり、それを使わせてもらえるのであれば、自分にとって勉強になると思います。
自分が欲しいと思っているスキルや経験が得られる
例えば誰かのサポートとしてプロジェクトに参加するような案件でも、その人からスキルを盗めるのであれば、勉強になり、かつお金ももらえるので、とても良い案件だと思います。
実務経験がある人は下請けよりもエージェント!
フリーランスで実務経験があってフロントエンドやバックエンドが専門の人は、自分で仕事を流してくれる会社を見つけなくても、エージェント経由で仕事は取れます。
※フロントエンド = js(react vue angularなど)書ける人
エージェント経由の場合、準委任契約が多く、予想外の工数がかかったりトラブルに合うことは少ないです。おまけに単価も高い。
今は在宅OKのエージェントも増えてきているので、気になる方はどんな案件があるのか覗いてみると良いです。